車の作業に使用するための作業灯の選び方

車の点検や何か作業を行う際に必ず必要なのがライト、作業灯です。たとえ昼間であってもエンジンルームの奥の方や室内の配線作業などは暗い中で作業を行わなければいけないことが多く、とにかく車の整備には作業灯が必須です。

しっかりしたものを一本用意しておけば、整備や点検の際だけでなく、停電などの非常時にも十分使えますので、作業をされる方は信頼できるライトを一本は用意しておきましょう。

バッテリー式と乾電池式

作業灯は大きく分けて2種類あります。バッテリー式と乾電池式ですね。一昔前は普通の電球で点灯する作業等が多かったので消費電力は大きいのですが、その割にあまり明るくないものがほとんどでした。

ご存知の方も多いかと思いますがマグライトなんかもそうですね。アメリカの映画で警察が持ってるサイズは棍棒並みのサイズですごいなぁなんて思った記憶があります。

そんなマグライト、まだ販売されていますが、私はLEDの登場によって全く使わなくなったので、今見るとこのデザインがとても懐かしいです。

一般的な懐中電灯を含めて考えると、その中でもこのマグライトはかなり明るい方だったと思います。マグライト以外の作業灯、コンセントに挿して100Vで使用するもの以外はほんとに暗くて、明るい100Vのタイプは明るいのは良いのですが、かなり熱を持つので扱いも大変でした。

今ではLEDのおかげで電池も長持ち、無茶な発熱もなく、しかも強烈に明るいものが増えたので選びやすくなりました。

ではバッテリー式と乾電池式、2種類の作業灯はどちらの方が良いのでしょうか?

バッテリー式のメリット

バッテリー式の作業等のメリットはとにかく明るいことです。電池式と比較するとかなり差があります。基本的にはバッテリーの出力にも依るのですが、出力が大きい=明るいと思っていて良いでしょう。正直、そんなに高くないものでも光源をまともに見れないレベルの明るさです。

バッテリー式のデメリット

そんなバッテリー式にも弱点はあります。手元に一本しか持っていない状況で電池が切れると完全に作業が止まってしまいます。当たり前と思われるかもしれませんが、集中して作業している際などは意外と忘れがちで、仕事(作業)が終わって帰る際に充電のし忘れなどがあると、再充電にはそれなりに時間がかかるのでどうにもならない事になります。

乾電池式と比べると汎用性が低い

後述しますが、乾電池式の場合だと仮に電池が切れてもコンビニなどですぐに入手可能ですね。予備の電池を持っているなら入れ替えるだけですぐに使えます。予備に置いてある乾電池は家の中のリモコンなどにも使えますし、単三や単四は常備してるなんて方も多いでしょう。それと比較するとバッテリー式は電池切れの際にすぐに対応できないのが弱点ですね。

価格が高い

乾電池式と比較すると、そもそもの単価が高い。LEDそのものの値段はかなり安いので、販売価格のほとんどがバッテリー代なんじゃないかと思ってしまいます。スマホなどもそうですが、バッテリーの性能がかなり重要ですから、ここに掛かるコストが大きいため販売価格がどうしても高くなります。

では乾電池式はどんな感じでしょうか。

乾電池式のメリット

圧倒的なメリットは前述の通り「家にある様々なものと共用出来る」ですね。ワイヤレスマウス、目覚まし時計、掛け時計など電池を利用したもの全てに使える乾電池を使うわけですから汎用性が非常に高いです。

充電池が安い

普通の乾電池は100均でも購入できますが、あまり長持ちしません。しかしエネループなどの充電池を使えばコストはかなり下がります。充電池の価格ですが10年ほど前と比較するとかなり安くなっています。Amazonのオリジナルで販売されているタイプは持ちも良く、さほど高くないのでオススメです。

単三電池

単四電池

充電器はまとめて充電出来るものを選ぶ

充電池の量が増えると、切れたらすぐに充電するという作業が疎かになってきます。私の場合は12本ほどは常に満充電の状態で保管しておいて、電池が切れると交換、切れた電池が8本くらいたまったら充電という感じで使用していましたが、それが出来るようになったのは以下のような充電器を購入したからでした。

私の使っているのは古いタイプなのですが、いまだに現役で使えています。

これひとつあるだけで、かなり便利になります。数年かけて家中の電池を充電池に入れ替えていったのですが、結局長い目で見るとその方がお得ですし、資源の無駄遣いも防げますから地球にも優しいですね。

この手のチャージャーは充電池のリフレッシュの機能がついているのですが、それが結構役に立っています。あまり長持ちしなくなってきたなと思った際、電池をセットしてリフレッシュ機能を使うと、新品とまでは言えないとは思いますが、なかなか良い感じで復活してくれるので、普通の乾電池を使い続けるよりはこの方が節約出来ると思います。

乾電池式のデメリット

そんな乾電池式を選んだとしても、やはりデメリットはあります。

長時間の作業には向かない

使う電池と本数、明るさによって全然違うので何とも言えない部分もあるのですが、乾電池のサイズ(単三単四)と明るさのバランスが良いものは大体3時間くらいで電池交換しなければいけない物が多いので、長く使っていると何だか頻繁に電池交換をしているような気がしてきます。

放置すると液漏れの可能性もある

充電池を使うと、最近ではほとんど起きなくなっていますが、乾電池は液漏れのリスクがありますね。こうなると電池の接触部(プラスとマイナスの接点)を磨いて復活するのであれば良いのですが、液漏れによってライトが使えなくなってしまう可能性もあります(実際には経験したことはありませんが)。

電池交換がめんどくさい

これは純粋にその作業が面倒です。特に集中して作業をしている際や、細かい作業で手が離せない、もうちょっとで完成なんて時に電池が切れて手を離さなければいけなくなったら結構ムカッときます。

バッテリー式と比較すると暗い

バッテリー式のものが明るすぎるのも理由なのかも知れませんが、比較すると光量は明らかに少ないです。とはいえ作業に支障があるほど暗くはありませんし、昔の作業灯と比較すると全然違うレベルの明るさですから、デメリットとは言えないかも知れません。

電池、バッテリーについては以上です。お使いの条件などに合わせてどちらを選択すれば良いか検討してください。では作業灯の種類はどのようなものを選べば良いかを解説していきます。

基本は両手が使えるものが使いやすい

作業灯ですから、片手が塞がってしまうのはあまり良くありませんね。ですから、作業灯として選ぶのであればどこかに設置するか固定出来るものが望ましいです。

マグネットタイプ

一般的に一番使われているのはこれです。整備士のほとんどがこのタイプを利用していると思います。特にエンジンルームでの作業などには向いています。室内で配線作業をする場合などは取り付ける場所がない場合が多く、マグネットの機能は発揮できませんので、床に置いても照らす角度が調整できるようなタイプが使い勝手は良いです。

また最近の車はアルミボディやアルミブロックのエンジンを積んだ車が多くなっています。BMWなどはエンジンのトップ、タペットカバーがプラスチック製になっていたりするので、いざ作業をしようと思って電気を固定しようとするとマグネットが付かないという場面が増えています。

ですがサイズや明るさ、使いやすさなどを考えると一番ポピュラーなのがマグネットのタイプでしょう。

頭につけるタイプ

探検隊が頭につけるようなタイプのライトですね。これは完全に両手が空きますから作業にはピッタリです。見た目にかっこよくないのと、呼ばれた際に振り向くと相手の顔を思いっきり照らしてしまうことになるので、誰かと一緒に作業するような状況だと気をつけなければいけません。

また、明るさは正直足りないです。配線作業などの際は問題ないとは思いますが、奥の方まで手を突っ込んで作業するような状態だと、そこまで光が届かないケースが多いですから結構イライラします。ですから手元を集中的に照らしておきたいケースが多い場合はこちらを選んで問題ないかと思います。

乾電池式はちょっと重い

頭につけるタイプで乾電池式のものは、重いというほどは重くないのですが、時間が経つとだんだんズレてくるのも欠点です。帽子などをかぶってその上に装着すれば良いのかも知れませんが、私が帽子が嫌いなので試したことがありません。

購入のポイント

作業灯を選ぶ際に一番気にしなければいけないのは明るさだとは思うのですが、整備士でなくサンデーメカニック的に使うのであれば「自分が行う作業で一番多いパターンに適したもの」を選ぶのが最重要だと思います。

ホイールごとタイヤ交換する機会が多い、複数人で車の外側で作業することが多いなんて場合は広範囲に照らしてくれるライトが適していますし、一人でボンネットを開けて作業することが多い場合は、マグネット式で出来るだけ明るいものを選ぶなどですね。

よくあるこの手のブログのように、使ったことがないものをレビューするなんて事は出来ませんので、私自身が使ったことがある、自分で持っているという作業灯を紹介したいと思います。

バッテリー式

まずはバッテリー式のタイプから

GENTOS GZ-304

一番明るいものからと思ってこれを選びましたが、正直サンデーメカで必要かといえば疑問、だいぶやりすぎ感があります。これは明るいなんてレベルではなく、暴力的な明るさとでも言いましょうか、とにかくめちゃくちゃ明るいです。

道路工事の現場くらいの広さを照らしたりする目的でも全く問題なく使えるんじゃないかと思います。4つあったらサッカーくらいなら出来るんじゃないかって感じです。光源を直接見る気が起こらないくらい明るいです。

また実用点灯2時間と書かれていますが、実際使った時はもっと長く点灯していたような気がするので、もう少し長持ちするんじゃないかな?と思います。

夜にバンパーの交換、タイヤ交換などの作業を行うことが多い、主に外装などの作業を行う場合はこれくらいのライトがあったら重宝すると思います。室内作業でもダッシュボードの広範囲を外すなどの場合には役立ちます。ダッシュボードを下ろす際にこのライトを借りて、後ろの席からこれで照らして作業しましたが、昼間と変わらないといえば言い過ぎですが、夜の作業でいつも感じるやりにくさは皆無でしたので、そういった室内の大掛かりな作業を行う場合にも良いかも知れません。

GENTOS GZ-703

こちらのライトも抜群に明るいです。ただ長さがかなりあるので、狭い場所での使用にはちょっと大きすぎるかも知れません。しかしこの薄さで照らせる範囲が広く、強烈な明るさがあるので本来の「暗い場所での作業」の助っ人としては有り余る明るさです。

LEDの反対側、背中側がマグネットになっていますので、ボンネットを開けた状態でボンネットの裏側に貼り付けて使うことも可能です。

動作時間は3時間となっていますので、長時間の作業になりそうな時は予備の電気を用意しておいた方が良さそうです。

GENTOS GZ-113

サイズ、明るさ、手軽さを全て考慮したらこれが一番かも知れません。室内作業にも邪魔にならないサイズで明るさは強烈ですから、「使えるライトで最初の一本」を考えるならこのGZ-113が一番ですね。

これもマグネットなのですが、底の部分がマグネットになっています。梯子のような足になっていますので、足の部分のマグネットで固定して本体を回転させることが可能です。室内での使用だと貼り付ける場所が少ないですが、床置きでもそれなりに使える、運転席足下付近だとブレーキペダルの骨の部分につけて作業したりも出来ました。

乾電池式

次は乾電池式のタイプです。

SG-355B

最初はマウンテンバイクのヘッドライト用として購入して使っていたのですが、あまりに明るいので作業に使うと便利かと思って使い出したらそのまま仕事用になってしまったというライトです。

単四を3本使うのですが、冬場で(使用時間が長い状況)3日持たないくらいの感じだったので、10時間持つかどうかといった感じです。切れても電池を交換すればすぐ使えるのがやはり非常に便利でした。

GTR-931H

これは室内配線作業用として購入しました。ハンダを使ったりギボシを取り付けたり、何十本の配線の束から目当ての線を探すなど、両手を使った細かい作業をする際には、電気のことを考えなくても良い状況で作業が出来る安心感が必要です。ライトが固定できない状況では、適当に置いてたライトが倒れたりした時に照らす場所が変わり、修正するのにまた片手は離さないといけないなんてことが非常に面倒なのでこれを買いました。電池一本でかなり持ちますが、明るさについては他とは比較できない弱さです。ですが作業をするのに不具合があるほど暗いという訳ではありません。

全てGENTOSの紹介になりましたが、このメーカーのライトが一番信用できるというか、少々落としても壊れない頑丈さもありますし基本的にどれもかなり明るくサイズ感もとても良いので、とにかく作業しやすいというのが理由です。

これまでGENTOS以外のライトも相当な種類を使ってきましたが、一回落としただけで木っ端微塵に割れてしまったり、電池の蓋の作りがねじ式でないばっかりに落とした衝撃で蓋のツメが割れてしまって使えなくなったりと、GENTOS以外でまともに使えるライトが今まで無かったというのが正直なところでしょうか。

番外編

久しぶりに作業灯を検索してみたら、なかなか良さそうなのが色々発売されていました。以下は持ってない、使った事はありませんがこれなら買いかなと思えるライトです。

OZ-132D

明るさ自体はたいしたことなさそうですが、めちゃくちゃ安いので一本買っといてもよいかなと思います。この手のライトを予備のライトとしておいておけると電池切れの際も気にせず作業が続けれそうなので、この値段なら一本くらい買っといて損はないと思います。

RV-143D

電池式で購入を考えるなら、これ一択でしょう。私がもしまだ現役で作業をしているのであれば間違いなく買ってます。ライトの首の部分が回転して方向を変えることが出来る、底面にマグネット付き、ペンホルダーのような部品が付いている。かなり万能ですね。ペンホルダーの部分を回転することが出来るのが前提ですが、この向きを変えてライトをL字に、すると胸ポケットなどに差して自分の前面を照らすことが出来るので両手は完全に空きますね。固定するという意味では弱いかも知れませんが、棒型のライトでこれは出来ない。しかしこのライトは棒型にもなる訳ですからかなり使い勝手が良さそうです。

おわりに

結論としては、バッテリー式を選ぶなら最初の一本はやはりGZ-113でしょうか。余裕のある方はこれを2本用意しておくと最高ですね。暗い中で6時間以上の作業が続くようなことは少ないと思うのでこれで十分かと思います。

電池式を選ぶなら、持っていないものをおすすめするのはどうかとも思うのですが、最後に紹介したRV-143Dの一択だと思います。別途電池を用意する必要がありますが、総合的に電池の汎用性も踏まえて考えるとバッテリー、充電器、RV-143Dを揃えるのが良いかと思います。

他にもGENTOSからは様々なタイプの作業灯が販売されていますので、一度チェックされても良いかと思います。

皆さんのお気に入りの一本を選んで、是非是非サンデーメカニックを楽しんで下さい!

関連記事(一部広告含む)