【クルマDIY】電装品取り付けに必要な最低限の知識はたったこれだけ!

今回の記事はちょっとややこしい話になるかも知れませんが、電装品の取り付けをするならこれだけは知っていた方が良いという内容で書いてみたいと思います。複雑な話になると余計に混乱して「めんどうだからそんなのはいいや」となりやすいので、ここではあくまで「最低限の知識」を得るための解説として、出来るだけ簡単に説明しようと思います。

ほとんどの車は12V

これはこのサイトを訪れる方にはほぼ常識とも言える知識だと思いますが、現代のほぼ全ての車は12Vでマイナスアースの車ですね。

トラックは24V

これも有名な話だと思います。全てのトラックがそうかと言えば違うとは思います。あくまで予想ですが、ディーゼルの大排気量だとエンジン始動時にセルモーターを回すために必要な電力が大きいために24Vにしているのだと思います。詳しいことはわかりませんので気になる方は調べてみて下さい。

古い車は例外もある

ほぼ見かけることはないですし、その車のオーナーなら必ず知っているレベルの知識でしょうから説明するまでもないとは思いますが、過去の歴史の中で6Vだった車も存在しますし、スクーターなどはちょっと前まで(40年くらい?)は6Vのものも存在しました。またプラスがボディ側の車両も存在しました。これは最初に聞いた時はかなり驚きましたが。

まぁこの辺りは豆知識程度に覚えておくと良いかと思います。

車は大きな乾電池だと考える

車のバッテリーの取り付けをよく見るとわかりますが、バッテリーのマイナス端子に接続されている太い黒の線は、その付近のボディに直接繋がっています。

ですから、プラスの電気は車内各部必要なところへ届けられており、電装品はそのプラスの線から電気をもらって、マイナス側の配線はボディに直接接続すると動作するという仕組みです。プラスとマイナスの関係は乾電池と全く同じです。ただマイナスの部分は乾電池とは違って、車体に直接つながっているということです。

これがわかれば使うギボシがわかる

プラスとマイナスの線を直接繋ぐとバチッ!とショートするのはご存知かと思います。要は車の場合だと、プラスの線を直接ボディーに接触させると、その途端に一気に大きな電気が流れてしまうのでショートしてしまいます。

車の配線作業でよく使うギボシ端子ですが、プラス側は基本的にはメス端子を接続します。

写真左側はメス端子、右側はオス端子です。

それぞれの横に「スリーブ」と呼ばれる絶縁チューブがありますが、メスの方が長く端子の全てを覆うように作られているのがわかります。

このように、仮に何かの拍子で外れた配線があったとして、それが振動などでボディに接触したりしないように「電気を供給する側の配線」は必ずこうして「外れても金属の端子はカバーされている状態」にしておかなければ危険なので、このように作られています。

このような理由からプラス線(電気を取り出した線)につけるギボシ端子はメスになります。時々は例外を目にすることもあります。社外オーディオなどの端子で平型端子を使っている場合、オス側も大きなスリーブで保護されているのを目にする機会が多いです。

とにかく自分で作業される場合は間違えないように、覚え方は「もらう方はオス、あげる方はメス」で覚えて間違えないようにしましょう。

一般的な純正配線の配線色

メーカー、車種、年代によって様々ですから一概には言えません。ですが国産車は黒系、輸入車は茶系をアース線に採用しているケースが多いかと思います。これかな?と予想が出来たとしても、配線する際は必ずテスターを使用して確認するようにしましょう。

社外品の場合は違う

カーナビやETC、その他の電装の配線色は純正とは異なりますが、ほぼ全メーカー同じ色を使用しています。私の記憶ではエクリプスだけは配線色が全然違って「なんなんだこれは、、、」と毎回思った記憶があります。

基本の配線色を説明しますと、様々な電装品で必ずと言っていいほど必要な配線は以下の3つです。

  • ACC
  • 常時電源 黄色
  • アース 

ACCとは、アクセサリー電源と呼ばれるもので、キーをONに回したら電気が流れる線です。現代のボタン式でエンジンスタートする車の場合は、ブレーキを踏まずにスタートボタンを押した状態(走行モードではないけどあちこちに電気がついてる状態)と同じです。電装品の説明書に「アクセサリー線に接続」とあれば、このように動作する配線を探して接続します。

車内で代表的な配線だとシガーソケットの配線がそれにあたります。電装品を取り付ける際はこのシガーソケットの裏から電気を取ると失敗が少ないです。ヒューズボックス内のシガーソケットのヒューズから電気を取り出す場合もあります。ですが、あまり笑えない話なのですがそうやってヒューズボックスから電源を取り出して電装品が取り付けられている車をチェックすると、電気の送り側から取らなければいけない線が反対側に付けられているなんてことも何度も見た事がありますので、まぁ一番分かりやすくて間違いが少ないのはシガーソケット裏から分岐させる方法でしょう。

余談ですが、ちょっと古い輸入車は、このシガーソケットが常時電源だった時代もあります。確かVWのゴルフ3とかはそうだった気が。ここにルームランプをつけて知らずにバッテリーを上げたって話はかなりの数聞いた事があります。

その他の社外品のオーディオ、ナビなどの接続線の色は以下のような感じです。

  • イルミネーション(スモールランプと連動する電気) オレンジ
  • スピードシグナル(ナビ取り付けに必要な配線) ピンク
  • サイドブレーキ(ナビ取り付けに必要な配線) 若草色
  • リバース(バックする時に点灯するライト) 薄めの紫
  • スピーカー(オーディオ取り付けに必要な配線) 白 灰 緑 紫(それぞれ黒ラインの線と対になっている)

まぁこれらは電装品に付属する取扱説明書を見れば記載されていると思いますのでこれくらいで。

電装品取り付けに必須の知識

ここからが本番というか大切な部分ですが、電気を取り出す際は、前述のように基本的にはシガーソケットから分岐が安全です。時々ゾッとする配線を見た事があるのですが、それはリア周りの配線を行う際、ストップランプやスモールランプから分岐して電気を取っているのを見た事があります。

これは絶対にやってはいけません。何もない時は動作するので問題ありませんが、もしその取り付けた電装品がショートした、不具合が発生したりすると、ブレーキランプのヒューズが切れたりします。すると走行中にブレーキを踏んでもランプが点かないという恐ろしい状態に陥りますので、これだけは絶対に避けて下さい。どうしても前から(リア周りに取れる電気がない)しか電気が取れないなんて時でも、安全な場所からちゃんと配線を延長して電気を取りましょう。

とにかくブレーキランプやヘッドライト、保安部品に関わるところですね。走行中に切れてはまずい場所からは電気は取らないようにしましょう。

結線が甘かったりするだけで、それが抵抗になってしまってヒューズが切れたりする場合もあります。DIYで電装品を取り付ける際はとにかくここだけは十分に注意して下さい。

ヒューズの役目

電装品の話になると必ず出てくる単語、ヒューズですが、これは一体なにをしているものなのでしょうか?

わかりやすい例だと、自宅のブレーカー同じ役目をしています。

電子レンジとドライヤー、乾燥機などを一気に動かして、自宅のブレーカーが落ちた経験はありますか?平成築の家やマンションにお住まいだとなかなかそういった経験も出来ないかも知れませんが。

電気を流せる量に関わる話なのですが、これは配線の太さや様々な理由によって決まっています。極端な例で言うと、水道のホースにダムの放水並みの勢いの水を流すと一体どうなるでしょう?間違いなくホースは破裂してしまいますね。これを電気が流れる量に置き換えるとわかりやすいかと思います。

何かの間違いや、設計時に予定していなかった量の電気が一気に流れてしまうと、接続している電子機器が壊れたりしてしまいます。それを避けるために、一定量以上の電気が流れた場合、それ以上電気を流さないようにするためにヒューズが切れるように作られています。要は電装品の保護、配線の保護のための安全装置ですね。

家庭内で使うタコ足配線も危ないという話を聞いた事があると思いますが、車の電装品も一本の線にぶら下がる形で多くの電装品をつけてしまうと、許容量を超えてヒューズが切れてしまいます。それを避けるにはどうすれば良いのでしょうか?

合計ワット数を計算しよう

なんだか難しく聞こえるかも知れませんが、分かってしまえばとても簡単な計算ですよ。

まずは取り付ける電装品の消費電力を必ず確認しましょう。最近の電装品はエコなものが多いのでよほどのことがなければヒューズが切れたりはしませんが、念のために計算すると理解しやすいと思います。まともな電装品だと消費電力○○w(何とかワット)と本体に貼られたステッカーに記載されていると思います。

その合計ワット数からアンペア数が計算できて、その計算したアンペア数がヒューズのアンペア数を上回る場合は、電源を入れた時点で「パチン」とヒューズが飛ぶことになります。

ここで簡単な例を挙げてみます。現実的、非現実的はここでは無視して下さい。

24w(24ワット)のライトをひとつ付けた。この場合は24÷12v(ボルト)で、結果は2A(2アンペア)という計算になります。

同じ配線上に同じライトをひとつ追加して、合計2個付けた。この場合は48w÷12vで、結果は4Aとなります。

この計算で出た数字が、取り付けられているヒューズの範囲を超えないようにしなければいけません。

この場合だと、仮にシガーソケットのヒューズが3Aだったとしたら、24wの電球をひとつだけ付けていた時は問題ないのですが、二つ目を追加して、電源を入れるとパチンとヒューズが切れるという仕組みです。

これがわかれば逆にも計算できますね。仮にシガーソケットのヒューズが5アンペアだったとします。その場合は何ワットまで電装品を追加できるでしょうか?

12v × 5A = 60w となりますので、60wまでは大丈夫という事になりますね。ですがギリギリの量で使うのは良くないので、正確な値は知らないのですが感覚的には8割くらいまでで抑えておいた方が良い気がします。最近の電装品でアンプなど以外で60wも電気を使う電装品はほとんどありませんけどね。

スマホ充電器を選ぶ際にも役立つ計算

これがわかるようになると、スマホの充電器などの性能も分かるようになります。何ワットの充電器とか書いてるものもあれば、アンペア数を記載しているものもありますよね。あれは大体が「都合が良い、見栄えが良い方を書く」のが通例になっているようです。

USBの差込口が3つあって、Max2.4Aと書いてあるものであれば、3つともコードを差して一気に3台充電すると、Maxが2.4Aなので、それぞれのスマホにはその3分の1しか充電出来ていないことになりますね。この場合だとそれぞれのUSB端子の出力が2.4Aだと思って買ったとしたらガッカリなんてことになってしまいますね。

てな感じで、知っていると以外と得をする、騙されないで済むようになりますので知ってて損はないですよ。

ヒューズを飛ばさないようにするために

では電装品を取り付ける際に気を付けなければいけない点をまとめてみます。これまでに書かなかったことも記載しますので、わからない、知らないという方はここをしっかりと覚えてから作業するようにして下さい。

  • 今電源を取ろうとしている配線は、一体何の配線なのか、ちゃんとわかった上で電気を取る。
  • シガーソケット裏から取るなら、ヒューズボックスのシガーソケットのところに何アンペアのヒューズが入っているのか必ず確認する
  • 出来るだけ太い線から電気を取る(細い線は避けるの意)
  • 電気をもらう配線も、極端に細いものは使わない
  • バッテリーを外して作業できない場合は、プラス線はボディに接触しないように気を付ける
  • 可能ならマイナス線は一番最後にアース接続する
  • 流れるように作業するとぽかミスをする可能性があるので、ちょっと進んだら手前の作業に戻ってきちんと配線が出来ているかしっかり確認しながら作業を進める

これくらいでしょうか。この辺を守って作業を行うとミスは減らせると思います。

おわりに

慣れないうちは、ちょっとややこしい話に聞こえるかも知れませんが、実はとても簡単な計算ですので、欲しいなと思う電装品の消費電力を調べて、何アンペアのヒューズならいくつまで付けれるなんて計算をして遊んでみるのも良いかも知れませんね。

この辺をちょっと詳しくさらっと説明できるようになると「車のことよく知ってるなー」なんて友人があなたを見る目が変わるかも知れませんよ!

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